検査が必要かどうかの見極め
低身長であっても検査に関しては下図のように分かれます。いまはまだ外来での検査すら必要ないもの、いますぐの検査は必要ないが、専門医に一応相談しておいたほうがよいもの、そして検査が必要なものです。病気が見つかる可能性が比較的高いのは、③の場合です。
どの病院にいくか
できれば小児内分泌の専門医がいる病院に行くことがお勧めです。といっても全国的に小児内分泌の専門医は少ないのが実情です。そのページに紹介してある病院がどこも遠いというときは保健婦さんやかかりつけの医師に相談してみてください。
また行く病院を決めたときは、診察日はいつか、何時まで受け付けてくれているのか、紹介状が必要かどうかなどを聞いてから出かけましょう。
低身長の検査
-
いまはまだ外来での検査すら必要ないもの
-
すぐに検査は必要ないが、一応専門医に相談しておくとよいもの
-
検査が必要なもの
持参してほしいもの
-
母子手帳
-
幼稚園と小・中学校の身長、体重の記録
のふたつですが、身長と体重の記録はおよそ何歳何か月で測定したものかをきちんと書いてきていただけると医師は助かります。
身長を評価する場合、小学校1年でOcm、2年生でOcmでは大雑把すぎるのです。何歳何か月のとき何cmだったか、ここがたいへん重要です。
検査はまず外来での検査
最初は外来での検査です。入院検査はこの検査の結果、結密検査が必要と判断された場合だけです。
検査の内容
①成長曲線作り
まず持参してもらった身長、体重の資料から成長曲線を作り、本当の低身長か、伸びぐあいはどうか、何か問題点がないかなどを見ます。
②問診
出生時に仮死があったり、黄疸が強かったりしなかったかなど生まれたときの様子、その後の発育・発達、いままでに大きな病気はなかったか、あればどんな病気か、長く使用した薬があるか、あれば何か、食欲、好き嫌いはあるかないか、頭痛がないか、便秘やおねしょはないかなどが医師から聞かれます。これは低身長の原因を探るために重要なことなので、きちんといえるようあらかじめメモして持参するとよいでしょう。
③体のバランスをみる
低身長が特徴の病気の中で、軟骨無形成症やターナー症候群などは体のバランスをみることでわかることが多いので、体のバランスをみることも大切です。
④左手のレントゲン検査
骨のレントゲンをとることで骨の年齢(成熟度)がわかるのですが、この年齢と実際の年齢の差によってホルモンに異常があるかどうかや、今後の身長の伸びなどを判断します。
⑤尿検査
尿をとって、尿の中のタンパク、糖、白血球、赤血球、尿潜血などを検査します。これは糖尿病や、腎臓病などがないかを調べるためのものです。
⑥血液検査
血液をとって、白血球、赤血球、血小板、ヘモグロビン、コレステロール、中性脂肪、電解質、肝機能、甲状腺ホルモン、インシュリン様成長因子jl(IGF-I)などを調べます。何か慢性的な病気がないか、成長ホルモンなどが出ているかどうかなど、低身長の原因をおおまかにさぐるための検査です。血液は5~10cc程度。少量ですから、小さいお子さんでも問題ありません。
検査結果
検査結果がすべて出るのはおよそ1か月後。そのときに外来での検査結果が伝えられます。
検査してみたところ、特に異常のない場合は、「病気ではありません。いまのところ治療の必要はありません。よかったですね」という話になります。
しかし、①極端に低身長である、②徐々に、あるいは極端に成長率が落ちている、③骨の年齢が極端に若い(暦年齢は7歳なのに骨年齢は4歳というような場合です)、④インシュリン様成長因子-Iエが低い、⑤甲状腺ホルモンの数値が異常値である、⑥その他の検査で異常がある、などの場合、必要に応じて入院検査を行います。
入院して精密検査
入院は普通は1週問くらいですが、この日数は病院によって、また行う検査によって違いがあります。
なぜ入院が必要なのでしょうか。
成長ホルモン分泌能力を調べる場合を例にとると、「成長ホルモンが出ているかどうかを正しく判定するため」です。成長ホルモンはいつもコンスタントに出ず、1日のうちでも変動しますから、1回の採血では必要な情報が得られません。
また、検査のときに十分に成長ホルモンが出るようにするため、成長ホルモンが盛んに分泌されるようにする薬を使います(これを負荷試験といいます)。よく使われるのは血糖を下げる働きのあるインシュリンと血圧を下げるクロニジンです。点滴で投与するアルギニンも使われます。まず刺激しない前の血液中の成長ホルモンを調べてから、薬で刺激しておいて、何回か時間をおって採血をします。
このような負荷試験は2種類行うことになっていますが、なぜ2種類するかというと、普通の人でも10回に2回くらいはこのような刺激に反応しないことがあるからです。
この2種類の検査は続けてはできませんので、日を改めて行います。そして、インシュリンの負荷テストでもクロニジンの負荷テストでも成長ホルモンの分泌が悪いとなると、成長ホルモン不足が一応疑われます。
なお、病院によっては3種類以上の検査を行うことがあります。
成長ホルモン分泌不全があるとき、同じように脳下垂体から出ている副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモンの分泌も障害されていることがありますので、通常、入院時にこれらのホルモンの検査も併せて行います。
検査は専門医でないとできないか
一般の病院でできないことはありませんが、インシュリンやクロニジンの負荷テストで低血糖や低血圧が起こったり、けいれんなどを起こす危険も伴うので、経験豊かな専門医のもとで検査を受けることが原則です。
外来で精密検査はできないのか
設備の関係から、また保護者の要望などで外来のみで検査をする専門病院もあります。何回も通院することにはなりますが、専門医であればきちんとケアできるはずですので心配はないでしょう。