低身長の原因


母乳不足と低身長の関係

母乳不足でも母乳だけを?

ミルク至上主義傾向に歯止めをかけようと母乳の見直しが始まったのは、もう30年も前のことです。これは両期的なことだったのですが、日本人の常として、ときに行き過ぎることがあります。

母乳も例外ではなく、一部の母乳マッサージグループの熱心な指導もあって、一時はブームともなりました。そして、「母乳なら不足ぎみでも大丈夫」「母乳不足でもミルクは足してはいけない」などと突っ走った考えも出ました。おっぱいがうまく飲めないのは舌小帯短縮のせいと、その切断を多くの親にすすめたり、母親の食事制限をしたりなどもあり、それが小児科医や歯科医、耳鼻科医の間で問題化されたこともありました。

また、アトピー性皮膚炎のところでも挙げましたが、母乳を与えているお母さん自身の食事制限をも激しく行うなども、ひとつの風潮にさえなりました。

乳児期の栄養不足は問題

乳児初期の栄養は「脳の発達にも影響がある」と考えられています。赤ちゃんの発達がかなり遅れていたことでも、栄養不足で発達の遅れが出ることがはっきりしています。

また、発育が悪く、身長、体重、頭囲などに影響が出ることも明らかです。

母乳なら、不足していても大丈夫という話の理論的根拠は全くありません。

また、母親の極度の食事制限が母子ともに大きい問題を残すこともです。

セカンドオピニイオンを

母乳にはこだわりたいが、どうもそこまではついていきにくいと考えたとき、疑問に思ったときはもうひとつの意見を聞いてみましょう。

小児科医なら、お子さんを計測、診察して、医学的な判断をしてくれるはずです。

母乳が人間の赤ちゃんにとって最良の飲み物であることは異論の余地はありませんが、不足している場合はミルクを足すべきです。改良に改良を重ねたよいミルクがある時代なのですから。

すでに影響が出たと思われる場合

母乳のときは終わって、現在は幼児期、学童期だけれど、いま低身長という場合は、まずは小児内分泌の専門医に一度相談してみるとよいでしょう。

 

 

  •  アトピー性皮膚炎イコール食物によるものと考えない。
  •  親子の極端な食事制限は、身長、体重、頭囲などの発育に影響が出る可能性がある。
  •  親子の極端な食事制限は、親の精神衛生、子どもの運動発達、精神発達に影響が出ることもある。
  • 食事制限が改善されれば、かなり追いつくが、ときにはこのときのハンディが尾を引くこともある。
  • 親の勝手な判断で食事制限をすることは、危険。
  • 極端な食事制限を勧める医師だ一つたら、セカンドオピニオンを他の医師に求めるとよい。
  • 皮膚科と小児科の医師の指示が違うときもセカンドオピニオンをもうひとりの先生に求めるとよい。
  • 血液検査の結果はひとつの参考にはなるが、必ずしも100%信頼できるものでもない。皮膚症状は年齢が上がるにつれて治つていくこともある。
  • ただし、窒息・ショック症状を一呈するような重い症状のものは厳格な指導と制限が必要ではある。
  • アトピー性皮膚炎の治療の基本は皮膚の清潔と、ケースバイケースでステロイド軟膏の治療。抗アレルギー剤の服用が必要なことも泌る。
  • ステロイド軟膏は使ってはいけないという考えは間違い。
  • 民間療法の大部分は科学的、医学的根拠のない説。
  • すでに低身長であることが気になるときは、小児内分泌の医師にいちど相談を。
  • 母乳不足のままにして母乳だけで頑張るのは危険。母乳不足ならミルクを足すのが常識。
  • 極端な母乳不足は、発育・発達に影響を及ぼす。

アトピー性皮膚炎の食事制限と低身長の関係

極端な食事制限は発育に影響

「アトピー性皮膚炎だから、卵も牛乳も大豆も何もかもだめ」と厳しい食事制限をされた多くの子どもの発育を追ったところ、身長、体重、頭囲ともに下降線をたどるという明らかなデータが数多く集まりました。

生後3か月半から、母乳を与えている母親への極端な食事制限と子どもの離乳食の制限を生後8か月半まで続けたために、身長、体重、頭囲ともに下降線をたどった一例です。さすがに心配されて、8か月半で私どもの病院にみえました。診断の結果、極端な食事制限は不必要と判断できたために、極端な食事制限をストップしたところ、体重と頭囲は急激に増加しました。身長は徐々に改善し、1歳過ぎにはマイナス2SDのラインの上までいっています。

来院は急激に身長、体重ともに伸びが悪くなった11歳半でしたが、これも極端な食事制限を中止したために、成長曲線は劇的に上方に向かい始めました。

極端な食事制限は、これほどに子どもの成長に関係することをまず理解してください。

しかも成長障害は残る場合も

乳児の場合は身長、体重ともにだいたい食事制限をする前のもとのラインに戻っていますが、学童期から極端な食事制限を始めたものは、それを中止しても、元のラインには到達していません。特に身長は食事制限前に平均値にあったものが、いまだにマイナスーSDのラインに沿っていて、極端な食事制限の影響が出だのかもしれないという結果です。

個人差もありますが、食事制限の期間や始めた年齢によっては、明らかに、最終身長にまで影響が出ることも多くの例から明らかになっています。

アトピーにばかり目がいっているために「成長に重大な影響が出ることもある」という事実は知っておいてほしいものです。

発達にも影響する

母乳を与えているためにお母さんが食事制限をされた例では、8か月半で初めて診察室にやってきたこの赤ちゃんは寝返ることも、すわることも、はうこともできていませんでした。見るからに栄養失調状態で、顔色は悪く、無気力な表情が印象的でした。歯も1本もないという状態でした。

お母さんの食事制限は5か月間続いていたのですが、卵と卵製品、乳製品、大豆製品はすべて食べてはいけないという指導を受けていました。さらに肉類、油を使った料理もだめとされていました。その結果、お母さんはい11㎏もやせ、精神的に不安定になり、家族関係も悪くなっていったようです。

当然、子どもの発育・発達が悪いことは気づいていたのですが、主治医から「成長障害は一時的なものでいずれ回復する。いまアトピー性皮膚炎を治しておかないと、気管支喘息になる」といわれていて、我慢していたようですが、問題のアトピー性皮膚炎は、これはどの努力にもかかわらず悪化するばかりでした。

その後のこと

さて、この母子はどうなったかというと、子どもは2歳4か月の時点で皮膚症状は正常。気管支喘息にもなっていません。制限しているのは卵そのもののみ。卵製品は食べています。

治療は、まずほとんど出なくなっている母乳をやめ、お母さんの食事制限は全部解きました。その結果、すぐにお母さんの体重は増え、精神状態も改善して、もとの元気なお母さんになりました。

子どもにはアレルギー治療ミルクのMAIを与え、総合ビタミン剤、鉄剤、微量金属とセルテクトを投与。

皮膚に対しては清潔にすることを主眼としました。そして、おかゆ、さつまいも、白身魚、野菜を与えていきましたが、これでアトピー性皮膚炎の症状が出ることはありませんでした。

100%食事が原因は間違い

アトピー性皮膚炎は100%食べ物と関係があるという考えは、お母さん方の中に非常に根深く浸透しているようです。

現在もなお一部で強くいわれている「妊娠中に卵や牛乳をとらなければ、生まれてくる子のアトピーの発症が抑えられる可能性がある」という考えが一般に浸透しているのも一因でしょう。ただし、この考えはまだ賛否両論があります。

また「そば屋の前を通っただけでそばアレルギーで気分が悪くなった人がいる」、「ケーキを食べたらショックを起こして救急車で運ばれた子がいる」などという話から、アレルギーというのは食べ物と大いに関係があると考えられている面もあるようです。

もちろん、これは本当の話で、このようにハードな食物アレルギー症状を呈する人もごく一部にはいます。

このように、アレルギー患者の一部には食物との関連がありますが、アトピー性皮膚炎イコール食事制限という誤った固定観念はこの際、ぜひ打ち捨ててください。 


軟骨無形成症による低身長

軟骨異栄養症は古い名称

軟骨異栄養症は軟骨無形成症と軟骨低形成症の総称で古くから使われていましたが、現在は使われなくなりつつあります。軟骨無形成症は、Achondroplasia(アコンドロプラシア) といい。アはないの意味、コンドロは軟骨、プラシアは形成です。臨床的に程度の軽いものが、軟骨低形成症と呼ばれます。

軟骨無形成症とは?

軟骨の増殖が何らかの原因で障害されているために起こる病気で、2万人にひとりの割で発生するといわれています。日本人口は1億2千万人ですから、単純計算すると全国では6千人の患者さんがいることになります。

軟骨の増殖が障害されているために骨が伸びないこと、特に手足の骨が短いことがひとつの特徴ですが、その他にもいろいろな症状が出がちです。

首すわりが遅いなど発達が遅れる、水頭症がある、脊椎管狭窄があるためにまひが起こることがある、アデノイドがある、いびきをかきやすい、惨出性中耳炎になりやすいなどなどです。

あまりにも低身長が強調されているため、この病気は低身長の克服が主眼のように思われがちですが、まずはさまざまな症状についての専門医からの説明や対応が重要なのです。

この病気の発見と医師の対応

最近、この病気は妊娠中の超音波検査で発見されることが多くなりました。手足が体にくらべて短いこと、頭が大きいことなどからです。

生まれてみればそのプロポーションから、すぐ「軟骨無形成症」であることがわかり、産婦人科医からまずは小児科医に紹介されます。

そこで確かな情報が親に伝えられるといいのですが、小児科の先生の中には「お母さん大丈夫よ、5歳になったら成長ホルモンの注射があるし、10歳になったら脚延長術があるから背は伸ばせます」と低身長に関する話だけをされる方がおられるようです。

なお、脚延長術というのは、ひざの上下に人工的な骨折を起こさせて装具を両側につけ、その間隔を少しずつ開けることで骨を伸ばし、結果として手足を仲ばすことのできる手術です。

成長ホルモン治療と違う点は確実に背が伸ばせる方法ではあるのですが、安易にしてよいものではありません。

もっと病気全体をみてほしい

この病気と長年にわたり取り組んできた整形外科医の立場からいいたいことは、親ごさんへのなぐさめを考慮しすぎて低身長に対する安易な見通しだけはいわないでほしい、もっとこの病気全体を見てほしいということです。

まず軟骨無形成症の子に限っては、首すわりが遅い、おすわりが遅いなど発達の遅れがある、水頭症がある、アデノイドがある、惨出性中耳炎になりやすいなどがあるのが普通で、あっても多くの場合特に治療しなくても問題なく経過することが多いということをご両親に知っておいてほしいのです。

しかし、多くの病院では、あまりこの病気を見慣れていないため、不必要な治療や検査をほどこし、親子に苦痛を与えたり、問題を起こしたりすることもあるようです。

この病気に限って、運動発達の遅れはほとんどが様子をみていてよいのに、首すわりが遅いということでハードな訓練をさせられる子どももいます。この病気がよくわかっている医師なら「大丈夫、大丈夫」といって様子をみます。2歳まで首がすわらなかったけれど、様子の観察だけでいまは立派に職
業についている方もいるのです。

しかし、「大丈夫、大丈夫」とだけいわれても心配なものです。どこかいい先生はいないものかと新幹線などに乗って遠方まで通いつめ、何だかはっきりしない薬をもらってずっと飲ませ続けたご両親も珍しくありません。「親としてできることなら何でもする。ワラをもっかみたい。1cmでも効くなら」と迦い続けられたのでしょうが、この薬は間違いなく、本当のワラにすぎなかったはずです。

水頭症も同じ。この病気での水頭症は大部分は治療しなくても問題は起きません。むしろ、この病気で一般的な水頭症と同じ手術を行うとたいへん危険なのです。

海外には収骨無形成症で水頭症のまま有名な医師になっている人もいます。

扁桃、アデノイド、惨出性中耳炎なども手術などせずにおさまっていく場合がはとんです。

ただし、これらの話は一般論であり、もちろん例外的に手術が必要な場合もあります。 


女性におこるターナー症候群について 染色体による先天的なもの

ターナー症候群とは?

低身長がひとつの特徴である、先天的な病気です。性染色体の中のX染色体でのトラブルなので、女性にだけ起こります。

背が低い、首のまわりの皮府がたるんでいるためにひだができる(翼状頸)、ひじから先の腕が外向きになる(外反肘)、二次性徴が出ない(乳房が大きくならない、月経がこない)などの特徴があるのですが、この名前はこれを初めてきちんとまとめたアメリカのヘンリー・ターナーに由来します。1938年のことでしたが、それから約20年後、染色体の検査ができるようになり、以後、ターナー症候群は染色体検査できちんと診断できるようになり、そのために幅広く見つけられるようになりました。

しかし、この病気は染色体異常が原因なので、いまのところ病気そのものを治す方法はありません。

染色体のどの部分の異常か

染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受けついで全部で46対の染色体をもつことになります。

染色体というのは細胞のひとつひとつにあるのですが、これらは体の設計図を含んでいるものなのです。

性染色体によって男性か女性かが決定されるのですが、染色体は男性だと46XY、女性だと46XXということになります。

ターナー症候群の女性の典型的なものは45Xで、Xがひとつしかないものです。しかし、それだけでなく、X染色体は2本あるのに、先が欠けていたり、ときには小さなY染色体の一部をもっていたりなどさまざまです。

また、46XXと45Xとが混じり合っている場合もあります。いくつかの染色体、たとえば45Xと46XXのふたつの染色体をもつ場合はモザイクと呼ばれます。

発症の頻度は?

発生頻度は千~2千人にひとりではないかと考えられています。先天的な病気の中ではかなり多いほうといえるでしょう。しかも、この染色体構造をもっていると圧倒的に流産するので、受精卵の段階での数はかなりであろうといわれています。

また、症状にもかなり幅があり、二次性徴があったり、外見からはほとんどわからないという人もいます。ターナー症候群であっても子どもができた人もいます。

必ず見つけないといけないのか?

二次性徴があったり、外見からわからない場合は、本人がわざわざ病院を訪れることはまずないので、知らないまま一生を過ごす場合もあるわけです。ですから、一生知らずに過ごしたほうがよいのではないかという考えも成り立ちます。事実、学問的にすべてのターナー女性を見つけようとしたら出
生した女児全員に染色体検査をしなければなりません。

しかし、すべての人にかなりの検査をしてまで全員を見つける必要など少しもありません。わが子の背が低くてもいいんですよ、と考える方もいて、それはそれで少しも問題ではありません。

必要なひとに対し早期発見早期治療

早期発見、早期治療が必要なのは背が低いのをどうにかしてほしいという人に対してです。

ターナー症候群の女性は何も治療しないと最終身長(日本人の場合)が平均138cmなので、治療希望の人には早期発見、早期治療は欠かせません。

なお、ターナー症候群であることが確定すれば、そのすべての人に成長ホルモン治療が公費でできるようになりました。

ターナーに限らず、マイナス2SD以下の人には「もし原因があるなら治療が可能かもしれない」と伝えることは必要でしょう。ただし、それを強制するのは行き過ぎです。治療するかどうかを決めるのは、あくまでも本人や家族なのですから。 


成長ホルモン分泌不全性低身長症とは

どんな病気なのか?

簡単にいえば成長ホルモンの出方が不足しているために低身長になる病気です。「低身長には原因があり、だから治療できるのではないか」と一般の方が考えたとき、たぶん、疑っている病気はこれでしょう。

なお、成長ホルモン分泌不全性低身長症のほかに、下垂体性小人症、成長ホルモン欠損症、成長ホルモン分泌不全症などと呼ばれることもあります。

成長ホルモンの出方が不足しているといってもその程度はさまざまで、重症、中等症と分けることもあります。 

基礎疾患のあるものと、ないもの

この病気の原因を大きく分けると、①基礎疾患のないもの、②基礎疾患のあるものに分けられます。他の病気でも原囚不明のものは特発性と呼ばれますが、低身長の場合も同じで、①のようななぜ起こったかはっきりしないものは特発性と呼ばれます。

これに対して基礎疾患のあるものは器質性と呼ぶのですが、これをさらに分類すると、先天的なものと後天的なものに分けられます。

先天的というのは、生まれたときにはすでにその疾患をもっているというものですが、口蓋・口唇裂など正中線(体の真ん中)上に奇形のある場合、全前脳症がある場合、そして下垂体が形成されていない(下垂体無形成)とか、下垂体が小さい(下垂体低形成)などがあります。

後天的なものの代表は脳腫瘍ですが、その他、大量に放射線照射された場合、外傷を受けた場合、何らかの炎症を起こした場合などがあります。

なお、さかごで生まれた、仮死で生まれたなどで低身長である場合は、成長ホルモン分泌不全性低身長症の可能性が大きいのですが、以前はこれらは特発性と考えられていました。しかし、MRI(核磁気共鳴画像)で見るとこれらの子どもの70~80%に下垂体茎が見えないことから、さかごや仮死
があると分娩時に外傷や無酸素などで下垂体に断裂が起こることがあるのではないかと考えられるようになりました。 


子どもの低身長の原因

  • 身長の伸びが悪くなる病気を早く見つけるには、成長曲線のプロットが大切。
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症とは、その名のとおり成長ホルモンの欠損で低身長などをもたらす病気。
  • 原因不明な特発性のものと、他に基礎疾患があって起こる器質性と呼ばれるものとがある。また、先天性のものと後天的なものとに分けることもできる。
  • 先天的なものの代表は体の正中線に奇形がある、下垂体に問題があるなど。後天的には脳腫瘍などがある。
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症のほかに、下垂体性小人症、成長ホルモン欠損症、成長ホルモン分泌不全症と呼ばれることもある。
  • 甲状腺ホルモンの異常でも低身長になる。先天的なものは生まれたときに全員に行われるマススクリーニングによって発見できるが、後天的なものは背が伸びにくいことで見つかることが多い。
  • 下垂体性も甲状腺によるものも、後天的なものは成長曲線にプロットすることで発見できる。
  • 虐待などで愛情が不足することでも後天的に身長が伸びなくなる。
  • 身長の伸びが悪くなる病気の早期発見には成長曲線のプロットが大切。

 


後天的甲状腺機能低下症とは

甲状腺とは?

甲状腺はのどのあたりにある臓器で、ここから甲状腺ホルモンが分泌されています。

甲状腺ホルモンは心身ともにいきいきさせるホルモンですから、これが不足すると、気力がなくなったり、疲れやすくなったりします。

身長とも大いに関係があり、このホルモンの不足で低身長になる場合もあります。

後天的なものとは?

生まれつきではなく、出生後、遅れて発症することを後天性といいますが、いちばん多いのは橋本病と呼ばれる慢性甲状腺炎。次いで多いのが萎縮性甲状腺炎です。

成長期にこれらの病気になると、身長の伸びが悪くなり、ときには伸びが全く止まったようになります。ある時点でまるで成長が止まったように、プロット
した点が横に並んでいます。

実はこの例は学校の養護保健の先生によって見つけられ、私のところに紹介されてきた子どものものです。成長曲線をつけてみておかしいと感じて病院へ行くことをすすめたということですが、もし養護保健の先生が成長曲線を作ってくれていなければ発見はかなり遅れたものと思われます。

この意味からも養護保健の先生にこの本を読んでいただきたいと思いますし、身長、体重を測るだけに終わらず、成長曲線も作っていただけたら、見落としはもっともっと減るのではないかと思うのです。後天性のものは、ときに発見が遅れることがあるのです。

症状はないのか?

ある子が来院したのは7歳5か月でしたが、6歳9か月ごろから疲れやすく、友達と同じペースで行動がとれなくなったといっています。体育の時間にも以前にできたことができないなど、能力の低下がみられ、すごく寒がるようにもなっていたようです。

甲状腺ホルモンは体をいきいきさせる働きがあるのですから、それが不足すれば何らかの症状が出るのですが、疲れやすいな程度で大きい病気を考えない場合が多いのではないでしょうか。もし養護の先生が早期に発見していなかったら、この子はかなりの低身長になっていたかもしれません。発見
後の治療で伸び出し、15歳では160mを超えています。 


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